テルミー
「思うにだな」
気だるげにカウチに身を沈めドラコは言った。
「あの時、ポッターのやつが僕の手を握り返さなくて良かったと思っているんだ。
交流を深めるようになっていたかもと思うと虫唾が走るよ。」
入学式での事をくく・・・と、喉の奥で笑うドラコは
いつも通り嫌味ったらしくて、気取ったお坊ちゃんだった。
「そう・・・それじゃあ・・・」
だから私は言ってやる。
「私が手を握り返さなかったらどうなっていたのかしら?」
するとドラコは急に困った顔をして、私に手を伸ばすのだ。
長い髪の合間をぬって、私の首を支え、寄せる。
「・・・・・・それは・・・、困るよ・・・。」
あまりに切実な言葉なものだから、ついつい頬が緩んでしまい、
それをごまかす為に寄せられる首をそのままにドラコに口付けた。
なんてお馬鹿さんで弱いのかしら。
触れ合う唇が”もっと”と言っていた。