ビタミン

、見て判るだろう?僕は風邪なんだ。」

パジャマの上からガウンを着込んでドラコはコホと咳き込んだ。

今のドラコはいつもの完璧オールバックも乱れ汗ばんで額に髪をひっつけていた。

「ええ、知ってるわ。」

はドラコの部屋を忙しなく動き回りティーセットを見つけると杖を振った。

「だから、生姜湯を作ってあげにきたんじゃない。」

カップに注ぐと生姜の香りが部屋に立ち込めた。ドラコは眉を寄せると

「ジンジャーは嫌いだ。」

と呟いた。はカップをドラコに差出し、

「はいはい、次は蜂蜜にするから…。喉痛いんでしょ。さ、飲んで」

と顰めるドラコの手に持たせた。

「お前、いいかげん伝染るぞ。」

鼻をつまみながら生姜湯を口にしたドラコは湯を舌に触れてうげっと唸った。

「伝染を気にしてちゃドラコの看病なんかできないわ。」

ドラコの額の汗を拭い、手をあてて洗面器に氷水を張り出した

「・・・それで?ホグズミード行きを諦めてまで僕のところにいるわけだ。」

「そうよ。」

氷水に浸したタオルを絞ってドラコの額にのせる

それが何か?とドラコの顔を覗き込んだ。

「僕の風邪が早く治れば・・・と思ってのことか」

「あたりまえじゃない」

ドラコは熱で瞳を赤くしてベッドに身を沈めた。

がドラコの額のタオルに手を伸ばすとその手はドラコに捕らえられた。

「じゃあ、君に染つす。」

「・・・・!」

唇をドラコの熱い唇に押し付けられた。




ドラコはすぐにを開放した。熱をそのままうつされたようには真っ赤になったが、

ドラコがすーっと眠りについたので、憤った思いのぶつけようがなかった。













後日、はホグズミード行きの日に高熱で寝込んでいた。

「まったく、君は期待を裏切らないな。」

高価そうなリンゴをローブで拭うとドラコは齧り付いた。

「・・・・・・誰のせいだと・・・?」

ドラコは寝込むを尻目に肩をあげた。

「・・・・・・・私もリンゴちょうだいよ」

ぼうっと開ききらない瞳をドラコにむけては懇願した

「ああ、いいよ」

ドラコはにやりと笑うと再びリンゴに噛み付いた。

の傍に寄るといきなり口付けをした。

「・・・・!」

の口内にリンゴの欠片がころがりこんだ。

「ドラコ!!またうつるわよ!!」

熱か羞恥かわからない程顔を真っ赤にしてが叫んだ。

「もう免疫があるから平気だね。もう一度食べるかい?」

リンゴを片手にドラコは笑った。

の熱が引くのはもう少し。