SEE YOU





あ、だ。レイブンクローの。

こないだのクィディッチ、彼女の所為で先にチョウからスニッチを取られたんだ。

こんな所で何やってんだ?


ああ温室に行くのか。そういえば薬草学のレポートが出てたっけ。

レイブンクローも同じ課題なのかな。



ふうん、またマメに課題に取り組むんだな。

手が泥だらけじゃないか。手袋をつければいいのに。

「ドラコ、花壇を見にきたのかい?」

「うるさいなゴイル、こないだイチゴの鉢に膨れ薬を入れたんだ。どうなったかなと思ってさ。」

まあ、まだ膨れてるはずなんてないけどな。





ー、フリットウィック先生が読んでたわよー。」

「はーい。手を洗ってから行くわ。ありがとう。」

か。

あ、ハンカチ落したぞ。気付かないのか?


「ドラコ、それあのレイブンクローの子が落したんだよ。」

うるさいな、判ってるよ。

「あの子可愛いよな。でも混血なんだぜ」

うるさいな、知ってるさ。東洋系なんだ見れば判る。

あの長い黒髪、クィディッチの時はまとめてあったけど、下ろしててもいいな。

「ドラコ、ハンカチどうするの?」

「・・・・・・・・」


















、またお菓子作ったの?」

「うん、自分で作ったハーブを混ぜたの。どう?」

「うん!!おいしいよ!!いい香り〜」

「良かった!いっぱい作ったから食べてね」

へぇ、菓子なんか作るんだ。女は好きだな。

ここまでハーブが香ってくる。

「ドラコ、こないだのハンカチの子がクッキーもってるよ!美味そうだ。」

「こないだのハンカチを返してクッキー貰おうよ!」

・・・全く食い意地の這った奴等だ

「次、授業だろ、行くぞ。」

「あ、待ってよドラコ。ハンカチもってないの?」

お前らに渡すもんか。

っと・・・、次の変身術はレイブンクローと合同だな。





「それでは今日は先週の復習、卵を鳥に変えましょう。始めなさい。」

・・・少し大きいがまあまあ上手く青い鳥になった。

なんだ?クラッブの。鳥・・・というよりカエルだな。

・・・は・・・カナリアだ。

彼女らしいな。先生も褒めてる




「・・・では今日は鳥を卵に戻したらおしまいです。来週までにレポートを仕上げてくること」

卵に戻したらだと?そっちの方が一苦労だ。

あ、のカナリアが飛んだ。

こっちに来るぞ・・・。・・・捕まえた。

も僕の席に来た・・・

「ありがとう、マルフォイ」

笑った!!

「鈍臭いわね、あの子。」

「パーキンソン、卵に戻したんなら帰ったらどうだ?」

お前の方がよっぽど鈍臭いよ。















「ドラコ、寮に帰らないのかい?」

「ああ、もう少しベンチにいる」

「あそこのベンチの方が空いてるよ」

「ここのベンチの日当たりがいいじゃないか」

「そうかい?」



、明日のホグズミードどうするの?」

「うん、明日は図書室いかなくっちゃ、読みたい本が返却されてるかもしれないし。」

「えー、残念、一緒にアクセ見に行こうと思ったのに」

「ごめんね。楽しんできて」

「可愛いヘアピン見つけたらお土産に買ってきてあげる。」

・・・“可愛いヘアピン”ってどんなのが可愛いんだ?!

いつも女子のヘアピンなんて見てなかったぞ。

今度から見てみよう

「ドラコ、明日のホグズミードはさぁ・・・」

「僕は行かない。たまにはゆっくり昼寝でもしたいんだ。

 お前らで行ってこいよ。バタービールでも飲んでくればいい。」






















クリスマス休暇とまではいかないが、やはり皆ホグズミードに行くみたいだな。

ホグワーツも生徒が少なくなるだろう





のハンカチはまだベッドの脇に置いてある

ハーブの香りが仄かに香ってよく眠れるんだ。

でもやはり図書室に持っていこう。

話ができるかもしれない。







図書室は思った通り生徒も少ない。

はもう来てるのかな・・・いた!!

・・・ナイス!!一番日当たりのいい席を陣取っている。

・・・・・やっぱりヘアピンを付けてるんだな。赤いキラキラしたヤツをつけてる

こういうのが好きなのかな・・・?

・・・何の本を読むんだ・・・?

『魔法香草と飼育』・・・、『魔法薬学基本考察』・・・。

よし、僕にも十分話せそうだ。

今話し掛けても邪魔にならないかな・・・

「・・・やあ、

「ハイ、マルフォイ。今日はホグズミードは行かなかったの?」

「ああ、・・・うーんと・・・君こそ。

「今日返却される本が借りたかったから・・・。連れの二人は?いつも一緒なのに」

「まさか!あいつらがくっついてるだけだ。今日はホグズミードに行ったよ。・・・そこ座っても?」

「ええ、どうぞ。」

やった!さりげなく名前も言えたぞ!

「何の本だい?」

・・・さっき見たから知ってるけどな

「『魔法香草と飼育』に『魔法薬学基本考察』・・・こっちはついでなんだけど・・・」

は薬草学と魔法薬学が好きなのか?」

「薬草学は好きなんだけど、魔法薬学は苦手なの・・・。それでこれ・・・」

それはチャンスだ!

「へぇ、僕は魔法薬学は得意なんだ。よかったら今度教えようか?」

「本当?!嬉しいわ。周りの子は皆苦手なの、先生も厳しいし・・・、ほらグリフィンドールの

 ハーマイオニーはなんでも得意だけど忙しそうじゃない?」

「ああ・・・、それなら僕は適役だろう?いつでも教えるよ。」

「わぁ、じゃあ本当にお願いするかも。レポートとかでたときに。声かけるわ」

「ああいいよ。」

やったぞ!のこうして笑うのが見れるのなら本当に願っても無い適役だ。

「マルフォイって思ってた人と違うのね。」

「・・・?何が?」

「だって、スリザリンの人って私みたいなマグル混じりとは話さない人だと思ってたもの。」

「ああ、まぁグリフィンドールと敵対するあまりの・・・だよ。はレイブンクローだし。最近は混血の方が多いし

 実際口で言うほど僕も気にかけてないんだ。」

「そうなのね」

これで混血いじめのイメージも改善だ・・・!

「やあ、、本は返却されてたかい?」

「ああ、アレック。あなたもホグズミード行かなかったのね。本あったわ。有難う。」

なんだ!!??このハッフルパフの男!!

僕をチラチラ見やがって・・・!は今僕と話してるんだ。

さっさと消えろ!!

「・・・じゃあ・・・、お役に立ててよかったよ・・・」

「じゃあねアレック」

そうそう、さっさと居なくなれ!!

「・・・マルフォイ、私もこれ借りて行くけど・・・」

「え?!」

帰るのか??

「今度ほんとうに魔法薬学教えてね。」

「ああ・・・、・・・・・・あ!!・・・待って!!」

「?」

「あの・・・、これこないだが温室のとこで落したハンカチ。・・・急いでたし、僕も追えなくて」

「ああ!!探してたの!!有難う!!」

あ、手が当たった。・・・あ握手か・・・!これは思ってもみなかった・・・

柔らかい・・・小さいな・・・手。

「マルフォイ・・・」

「ドラコ・・・、ドラコでいい。」

「ドラコ」

わ・・・なんか凄い嬉しい

「ドラコはハーブとか平気??」

「あ・・・ああ・・・」

「じゃあコレあげるわ。綺麗にラッピングしてなくて悪いんだけど・・・」

昨日の菓子だ。あれからラッピングしたのか。別におかしくない。

「手作りのクッキーなの。ハーブ入ってるんだけど・・・。よかったら食べて。日保ちはするから。」

「ありがとう」

「よければまた作ったときにあげるわ。ハンカチ有難うね。」

「ああ、じゃあまた」

「See you」

やった・・・!彼女にこんなに近づけた・・・!!

もうここでずっと後姿を眺めていたいよ・・・・・

いつかあの隣を歩くんだ。・・・あ!!寮まで送るって言えばよかったーーー!!!

くそ・・・、また今度だな。

ハンカチは手から離れたが、今度はクッキーを枕もとに置こう。

あいつらに食べられないよう注意しとかないと・・・。















そしていつかに打ち明けよう

あの日クィディッチ選手でもない君に目が行って、スニッチを逃がした事を。