メイド・イン

穢れた血だけど、容姿端麗で



グリフィンドールだけど、性格もよくって



誰にでもやさしくって笑うと可愛い





そんな絵にかいたようなマドンナを


ドラコがこっそり目で追っていることを私は知っている。









女の子だったら誰でも憧れる


そんな彼女に

勝てっこないけど




ドラコと私は古い付き合いで


そしていつしかドラコが好きだってことに気付いて





そしてドラコが彼女を追っているのに気付いてしまった。




嫉妬で胸が焼け焦げそうだったけど



それでもドラコの前では



明るい



女友達に






少しでも近くにいたかったんだ。









「ドラコ」


「何だか」


「何だとはなによ、ぼんやりして。考え事?」


「ん・・・、まぁな」


本当は彼女を見てたんだよね。





「あ」


ドラコの声と同時に彼女がこちらに気付いて駆け寄ってきた。


「ハァイ、ドラコ、。」

「やあ」

私は笑顔を作ってそれに返した。



「ドラコ、これ、こないだ言ってた本。あったわよ」

そういって彼女は本を差し出す。



綺麗な手


「ああ、サンキュ。気が利くな」

「どういたしまして」


なんか・・・、嫌。

ドラコと仲良くしてるとこなんか見たくないし。



、そのピアス可愛いわね。どこで買ったの??」

「え?あ、これプレゼントなんだ。っていっても誰からかわかんないんだけど・・・」

の誕生日にはいつもすごい荷物が届くもんね」

「んー、まぁ多分お兄ちゃんあたりかな」

のお兄さん、前に写真見たわ。素敵な人よね」


にっこり笑う彼女の横のドラコの表情をチラリと覗った。

ドラコの視線は相変わらず彼女に向けられてて

彼女がうちのお兄ちゃんを素敵だって言ったわよ。少しは妬ける?

そう心でドラコに告げた。



それじゃあ、授業でね。そういって長い髪をなびかせて去っていく彼女。

後姿が小さくなってきたところでドラコが言った。


「彼女、いいよな」



ああ




とうとう













そう言ったドラコの横顔を見て涙が出そうになった。



「・・・ドラコ、私・・・」



「メイドにいいだろうなって考えてたんだ」

「え?」



ドラコがにっと笑ってこっちを見た

「うわ!何泣いてんだ?お前??」


「え??な、泣いてないよ!!??ご、ゴミかな・・・??」

慌てて頬を擦る私を見て、変なヤツ〜とドラコが笑った。



「そ、それより、・・・め、メイドって??」



ドラコに詰め寄ると、彼はにやりと笑って

「彼女だよ。メイドにいいと思わないか?見栄えはいいし、気立てもいいし、よく気がつく」

でも、それって・・・

ドラコの意見一つ一つに気が気でない私にドラコはとどめの一言を足した。



「それになんてったって穢れた血だしな」




ああ


この人・・・


根っからのスリザリンだった・・・。






ドラコに限って、いくら聡明な彼女とはいえ、穢れた血はせいぜいメイドどまりなんだ・・・。




「最近ずっと考えていたんだ。メイドのコスチュームとか。」

「コス・・・??!!!へ・・・、変た・・・」

「でもの意見も聞いておかないとな」

何で??

と見上げた私をドラコは横に屈んで横顔を覗き込んだ。

ほっぺたにキスされるのかと思った。


「お兄ちゃんからだと??お前の兄貴がそんなセンスいいピアスをやると思うか??」


「え??」


数日前の私の誕生日に宛名のないプレゼント。

照れ屋の兄貴のしわざかと思っていたピアス。




「ドラコがくれたの??」



「そんな高価なピアス、他に誰がやるっていうんだ。」



「だって、ドラコからは他に・・・、素敵なストールもくれたじゃない。」



「あれは父上が僕の名義で送っているものだ」



だって、それじゃあ・・・



「やっぱり、似合うな。」


満足そうにそういうと、今度こそ私にキスをした。


「一緒に彼女をメイドに雇うだろ??」

至近距離でそういうドラコの繊細な睫毛がキラキラ光って眩しかった。




あのマドンナをメイドに??





私と??











そんなことを言えるのは


ドラコ・マルフォイ、あんただけよ。