ゆめうつつ

白いシーツに乱れる長い髪

白い肌の女は紅潮した頬、零れるような瞳で名を呼んだ。

「ルシウス・・・・・・」











ゆめうつつ










がばっと起き上がったそこはいつも通りの寮の部屋で

銀糸のような髪をルシウスは後ろになでつけた。

「ゆ・・・夢だったか・・・」

今でもはっきりと思い出せるリアルな感触を再度味わいたいと思い

再び横になり目を閉じたが、それは叶わなかった。











寮の薄暗い談話室でルシウスは声をかけた。

カウチに座り、読書にふけていた彼女はちらりとルシウスの方を振り向いたがすぐに視線を本に戻した。

「夕べ君の夢を見たよ」

いつものことと懲りずにルシウスはカウチの手すりに寄りかかる。

の耳元に口を寄せ言葉を紡いだ。

「夢の中まで現れてくれるなんて、君は罪つくりだね」

「あっそ。」

ルシウスの口を払うようには乱暴に美しい髪をかきあげる。

なぎ払われたの指を避け露にされたの白い耳に再度口を寄せてつぶやく。

「どんな夢だったか知りたくはないのかい?」

耳にかかる吐息には眉を寄せる。

「キモイ!!痒くなる!」

バシンと閉じた本でルシウスの顔を打った。

「うっ!!!」

右頬を抑えてうずくまるルシウスをよそにはスタスタと女子寮へ上がってしまった。




「くそっ・・・!」

ホグワーツきっての美女、家柄的にも連れて歩くに申し分ない女だが、

詐欺のようなあの性格・・・。

いくらルシウスが甘い言葉を囁いたとてなびこうとしない。

夢の中ではあんなに従順だったのに・・・とルシウスは唇を噛んだ。

このマルフォイ家の御曹司を打つなど彼女しかいない。

そんなところもルシウスの気に入るところなのだが・・・


夢の中で抱いたといえば、張り倒されるのが目に見えている。

とはいえ、今日は見た夢のおかげで、つれないにもそこまで腹がたたない。

いつか夢を現実にしてやると心に固く誓うルシウスなのだった。