ブラックジャック

「・・・、私は君が頓馬でドジで間抜けでどうしようもないグリフィンドール生だというのは

 知っている。」

「はぁ・・・」

はセブルスの言葉に捨てられた子犬のように視線を落とした。

セブルスは端からの方を向いてはいない。

手元にある羊皮紙に次から次へと文字を埋めていった。

「それに、あの忌々しいポッターどものくだらん仲間であることもな」

「・・・・・・」

セブルスの見解からして、それらの言葉に嘘偽りはない。

は黙って項垂れた。



「だが・・・・・・」

セブルスの文字をつづる手が羊皮紙の上で止まった。

視線を感じては顔をあげると案の定、セブルスはを見ていた。

「・・・だが、私はが好きだ・・・」




セブルスの口から漏れた信じられない言葉。

は瞳に熱を感じ、Pardon?と聞きたい衝動に駆られたが、

それすら喉の熱さで出てこなかった。



セブルスの瞳は優しかった

信じられないことだけど






セブルスは再び目を羊皮紙に戻し、文字を書きつづけた。

「あ、あの・・・・・・!」

セブルスの視線から開放されたのが熱の解除法だったのか、はようやっと言葉を吐きだした。

セブルスは手を動かしたまま形のいい眉をあげた。

「セブルス・・・、そ・・、そのお、チョコレート食べない??」

セブルスが顔を上げたときに流れた髪が綺麗だと思った。

向けられた顔は、は?といった感じだったが。

「いや、いい。」

「いーから食べて!」

はポケットから小さなチョコの包みを取り出すとセブルスの前につきだした。

「悪いが甘いものは苦手なんだ」

セブルスは眉を寄せた。

「いいから!!」

「何故だ?」

「・・・・・・だって・・・バレンタインデーだから」

眉を寄せられは動揺したが言葉は吐き出せた。

バレンタインデーという言葉にセブルスの眉がピクリと動き、

「・・・・・・そうか・・・」

の手の包みを取った。

「ありがとう」

包みを口の前に持ってきてセブルスは微笑んだ。

普段見れないセブルスのその表情にドキリとしては顔を紅潮させた。

(・・・・・・それって卑怯だわ・・・)

「ど・・・どういたしましてっ・・・」

そっぽを向いて言ったつもりが横目でセブルスのめったに見れない表情を確認せざるを得なかった。




(ずるいわ・・・)

なんだかとっても不利な状況になってしまった。

こんな筈ではなかったのに・・・。

でももうチョコレートを渡してしまった。しかも半ばムリヤリ・・・

「・・・君はずるいな・・・」

セブルスはまだ微笑ってた。椅子に座ったままの腕をつかみ引き寄せた。

驚いて身を引こうとしたの耳元にセブルスは顔をよせ

「言ってはくれないのか?」

と囁いた。

吐息での耳は赤く腫上がった。あまりにも近くにいるせいでセブルスの香りがする。

は眩暈を覚えた。

そして絞め殺していた言葉を押し出した。

「・・・・・・スキよ・・・」

セブルスと目が合った。

彼の目はとても優しかった。